15の夜はティラミス・ガールズと共に

 「ゴミがいるだけさ…」

 綾は自分の心にどんな感情が湧き出たのかを確認するより早く、寿の頬を叩いた。

 「ホラ、音楽の時間に合唱で歌ってるだろ?」寿は平手打ちの事など無かったかのように、綾の目を見つめ続ける。「…なって言ったかな、ホラ、そう、『空も飛べるはず』だ」


 「それが何よ…」


 「皆、幸せそうに歌ってるんだ…」遠くで雷の音がした。寿は心の片隅で落書きの心配を少ししていた。「でもさ、気付かないんだな、皆。『ゴミで煌めく世界が~』のゴミっていうのは、自分達の事って気付かないんだ」


 「やめてよ…!」綾は自分を壁にピン止めしている寿の腕をどかそうとするが、逃がすまいとする彼の力は、思いの外、強かった。「やめて…離して…」


 「あの『ゴミ』ってのが、空き缶とかバナナの皮とかのゴミだと思うか?」


 「知らないよ!」