15の夜はティラミス・ガールズと共に

 「バカみたい…」
 綾のその台詞は、落胆だった。彼女としては、いつも自信たっぷりの皮肉屋の寿でいて欲しかったのだ。それが、この弱りきった駄々っ子に成り果てたのだから無理もない。

 「そうか?」しかし、寿にも綾の気持ちを推し量る余裕は無く「お前こそ、“何も分かってない”んじゃないか?」と彼女を挑発する。

 急に暗くなった天空からいよいよ大粒の雨が落ち、窓を叩いた。
 夏の夕立は、少しもの悲しい。

 「寿のは駄々こねてるだけ!」
 綾は仰向けの寿の頭を目がけて、クジラのぬいぐるみを投げつけた。二人の思い出のクジラは寿の頭をバウンドし、むなしくベッドと壁の狭間に落ちていった。

 「そうか?」寿は起き上がって、綾に迫る。綾は壁を背にし、寿は彼女を追い詰める。また少し、身長の差が増した。「じゃあさ、学校に何がある?」


 「何って……」


 「…ゴミ共がいるだけだ…!」