15の夜はティラミス・ガールズと共に

 「意地悪言うつもりはないんだ」
 開け放たれた窓から差し込まれている仰向けの寿を照らす斜陽は、さっきまでの夕焼けの橙が嘘のように急激に失われていった。
 夕立の暗雲が現れたのだ。

 「…学校来なよ」

 「……そんな事言わないで」
 寿は雑誌を投げ出し、うつ伏せになる。これが彼の精一杯のSOSだ。15歳の彼のプライドとして、分かって欲しいとか、助けて欲しい、とは言えないし、言うべきでもないのだ。

 
 だが、綾はひたすらに厳しい口調で詰問するのだった。今は、甘えさせてはダメだ…と。
 「何がよ?」
 
 
 「……学校の事なんかで、誤魔化すな」 
 
 
 「誤魔化してないよ」

 
 「もっと言いたいことがあるんじゃないか?」

 
 「別に…」綾はタンスの上のシロナガスクジラのぬいぐるみを手に取る。それは彼女の部屋のマッコウクジラのぬいぐるみと同じシリーズの兄弟だ。「学校に来てさえいれば、何も言わないよ」
 

 「中学はもういい」寿は挑戦するかのように言う。「義務教育だから、なんだかんだ言っても落第させる事はできねぇよ…」