それは、寿の母の心労を除けば、電車賃を考えても、病気の軽度から考えても、祖父母のメンタル的にも、介護ホームに入居させるより正しい選択といえた。
母の知るところの寿少年は、大人で、しっかり者であったので、母は何の不安もなく、中学生の彼を置いて帰省している。
母親は、私達が知っているように彼が、不良グループの『落書き師』に任命された事など予想だにしないだろう。
もっとも、それは彼の幼馴染の少女、綾も同じだ。
再三に渡る「寿ィ!」という綾の呼びかけに、寿は冷たく2音節だけ発する。「うえ」と。
「いるなら返事してよ!」
母の知るところの寿少年は、大人で、しっかり者であったので、母は何の不安もなく、中学生の彼を置いて帰省している。
母親は、私達が知っているように彼が、不良グループの『落書き師』に任命された事など予想だにしないだろう。
もっとも、それは彼の幼馴染の少女、綾も同じだ。
再三に渡る「寿ィ!」という綾の呼びかけに、寿は冷たく2音節だけ発する。「うえ」と。
「いるなら返事してよ!」



