みづきに手を引かれ、狭い路地のような場所をどんどん奥に進むと、ひとつのさびれたドアがあった。
ドアの前にはゴミ袋が並んでいる。たぶん厨房に続くドアなんだろう。

「どっから入ればいいかわかんないし、ここ入っちゃおっか。」

と、まるでランチはここで食べようか、みたいなノリで軽く提案するみづき。
扉の向こうからはカチャカチャというお皿が触れ合う音がする。確実に使用人がこの中にいるようだ。

「いや…あのさ。逃げるんだったら城の外行けばいいんじゃないの?」

そう、敵だらけの城の中に入るという前提自体がまずおかしい。
しかし、みづきはキョトンとした顔で言った。

「え?お姉ちゃんに会うんじゃないの?お城の中だよ?」

えっ、うみちゃんの場所、知ってるの?と口から出かけた瞬間にはもうみづきはドアを開けていた。

「こんちわ~。」

隠れる気など毛頭なさそうだ。

「えっ?!何?誰?!今忙しいんだから後にしてくれる?」

コックさんが色とりどりの食材?をでっかい鍋で炒めながら言った。

「あ、すいませーん。じゃ、ちょっと通らせてもらいまーす。」