女王だって王の眠りをどうにかしたいと考えているはず。しかし、うみの表情は晴れなかった。

「私もそう言ったの。でも、白の刺客かもしれないって信じてもらえなかった。」

「そんな…。」

あの女王では無理もないかもしれないが、国としても何かしら王様を目覚めさせる方法を探しているのではないか。普通に考えて、手掛かりになりそうなうみを掴まえることが信じられない。

「あー、もう!こっちは白の兵隊に命まで狙われて来たってのに、なんで赤に掴まんなきゃいけないのよ!」

私はイライラして足をバタバタさせた。

「白はどうしても赤の王様を目覚めさせたくないみたいね。このままじゃゲームは終わらないっていうのに…。」

「ゲーム?」

またいきなりよくわからない単語が出てきた。

「そう、赤と白はずっとゲームを続けてきたの。その勝敗の付け方は、相手の王様を倒したほうが勝ち。」

敵国…と言っても、要は違うチームみたいな感覚だったということだろうか。

「白は赤の王様が眠ったままのほうが自軍にとって有利、そう思って私たちを襲ってくるんだと思う。もしくは、ゲーム自体をやらせない気かしら。」

すると何?ゲームが有利になるとか、そんな理由で命を狙われたということだろうか。
私がムスッとしていると、鉄格子の向こうでバタバタという音が聞こえてきた。
すぐにその騒音はやみ、そして何者かが私たちの牢屋の前までやってきた。