他に頼る人がいないからとは言え、まさにこの人と話しているのは苦痛だった。

「私はただ…もとの大きさに戻りたいなって思ってるだけで…。」

「もとの大きさに戻りたいって、あなた一体何者なの?」

「え…えっと…。」

そう言われて戸惑ってしまった。高校生なんて言葉が通じるとも思えないし、かと言って他に自分を説明する言葉は思い付かない。

「あなた…自分で自分がなんなのかわかってないの?」

「そういうあなたは何者なのよ!」

「なぜ?」

「なぜって…。」

この人と話していても何もわからない。そう判断した私はきびすを返して歩こうとした。その時だった。

「大きくなりたければ、そこのキノコを食べることね。」

えっ、と振り返ると、そこにはすでにみどりの姿はなかった。代わりに、そこには1本のキノコが生えていた。

「食べろって言ったって…。」

正直、得体のしれないキノコを生で食べるのはかなりの勇気がいる。しかし、自分の想像を越えることが起こってる今、キノコくらいでお腹を壊すなんてことはないだろうと考え、キノコの傘の部分をちょっとかじってみた。