見ると、引っ掻き傷を負った男と、その隣にはこんな状況でもいつもの不敵な笑みを見せている加藤ちさがいた。

「馬鹿な!なぜお前が赤の味方に!?」

明らかに冷静さをなくした男に対してちさは冷静に返す。

「別に。私は有栖川さんにここで消えてもらいたくないだけ。こんな半端な物語じゃ、誰も納得しないわ。」

話の内容についていけてないが、とりあえず男は赤の敵で、私は赤の味方で、そしてちさは私の味方というところまでは理解出来た。
…赤って何が赤いのだろうか?

「まぁ、いい。お前らまとめてこの世界から消えてもらおう。」

そう言って槍を構え直す男。
その直後、ちさが私を後ろから抱くような形で押さえ付けた。

「え?!ちょっと、加藤さん!?」

私の味方…だと思ったのも束の間、私を盾のように男の前に出すちさ。
慌てふためく私の耳元で、大丈夫、と囁いたかと思うと、何か足に違和感を感じた。

見ると包帯をほどくかのように私の足がどんどんほつれ、そして消えていっている。

「何…ちょっと…イヤーッ!」

消えることへの恐怖から慌てて抵抗しようとするが、瞬く間に私の全身はほどけて消えていってしまった。