寝れなかった
目がぱっちり開いたアタシを見るなり
“アンタ。珍しいなぁ。早起きなんぞ…台風でも来るんと違うか…”
オカンの一言
確かに そうなんだ…
どんなに眠れなくても 朝方から寝てしまうのが このアタシ
だけど 今日は本当、マジで寝れなかった
“…オカン…。優人の事、頼んだで。アタシ、会えんわ…”
“何言うてるん。どんな理由があっても、別れは別れやで…ちゃんと会いや。”
アタシは渋々 居間に出て行き 優人と挨拶を交わす
“せっかくの夏休み、台無しにして…悪かったな…”
“元気でね…”
自然と笑顔がこぼれていた
優人は アタシの肩をポンポンと軽く叩いて 荷物を持って 出て行った
アタシの好きだった広い背中
さようなら
アタシの王子さま
全然悲しくはなかった
出来る事なら 好きな人と幸せになって欲しいと 思う
アタシ
いつから こんなに寛大な人間になってたんだろう…



