雫石さんは車をゆっくりと発進させながら 「そうやなぁ…」 と考える風に言った。 「じゃ、 あそこにしよう、ATC」 「ATC?」 「うん、南港。 海があってレストラン街があって遊ぶところもある」 楽しそうに言う。 「行きたいです」 アタシは即答した。 平日昼下がりだというのに車も多くて渋滞しているのか車はゆっくりと走る。 約束したこの梅田のあたりは再開発でいろんなところが工事中になっている。 だから行くたびに風景が変わっていてそんな街をゆっくり見れるからそれはそれで新鮮だった。