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「うーちゃんお待たせ」
白いワーゲンの窓を開けて雫石さんが声をかける。
「そんな待ってないです、
大丈夫です」
大阪の茶屋町で待ち合わせして雫石さんの車に乗り込む。
姉から雫石さんがこっちに帰ってきてるって聞いてもういてもたってもいられず連絡したのだ。
今週木曜日、学校が午前で終わるから。
急だったし雫石さん、仕事かなと思ったけれど
「大丈夫」
ってやさしく応えてくれた。
「どっか行きたいとこある?」
「じゃぁ、
海が見れて遊べるところ」
そう言いながらアタシは雫石さんが指差す助手席へ乗り込んだ。
京都にも海はあるけれど北のほうになるので南に住んでいるアタシは海なんてそう見る機会がない。

