社会人ではないアタシにはまだその言葉には理解に苦しむ。
姉はアタシが来たのにも気づかずそのまま爪をガラスのヤスリで磨いていた。
なんか猫みたい…。
「お姉ちゃん!」
アタシはお姉ちゃんの耳元まで近づいて大声で呼んだ。
「わっ!」
姉はびっくりして持っていたガラスのヤスリを床に落とす。
そしてそれを拾い上げアタシのほうをむっとした顔をして見る。
「もう!
びっくりさせんといてや!」
「お姉ちゃんが呼んだんやんか」
なんなのよ、自分で呼んでおいてその言い方。
アタシも負けじと言い返す。
「せっかくええ知らせ教えたろって思ったのに。
…明日なあ、久しぶりに翼がこっちに帰ってくるって」

