アタシは自分のことで精一杯でこんな奴、 相手にする気もなかったので無視して通り過ぎようとすると彼女はアタシの腕を掴み再び聞いた。 彼女の伸びた爪がアタシの腕に食い込む。 アタシは一瞬顔をしかめた。 「アナタ、遼のこと好きなの?」 今度は確実に、 言葉使い云々とかそういうの関係なく。 とても嫌な感じした。 …思い出したから。 これと似た場面がいつかあったっけ? それを思い出したから。 今、目の前にいるような大人の女性ではなかったけれど。 --「胡桃沢くんのこと好きなんですか?」--