でも
それでも本当に嫌なんだったらはじめから断るなりして帰ることもできたのに。
それに。
本を全部揃えたときも。
あのときもさっさと帰ることできたのに。
なんでだろう…。
いろんな思いが頭に浮かんで言葉にできなかった。
「まーええんちゃう?
嫌なんちゃうんやったらしばらくそのままでいてても」
美月はアタシの肩に手を置いてアタシに言った。
始業の予鈴が鳴る。
「人を好きになるのに理由なんか必要ないねんから」
彼女は自分の席に戻りながらそう言った。
「はぁ?!誰が?誰を?」
アタシの大声は届かなかったのか彼女は振り向かなかった。

