「助かりました」 そう言いながらアタシが置いた本を開いてページをめくりながら付箋を挟んでいった。 なぜかアタシは向かいに腰掛けてその彼の仕草をぼんやりと見ていた。 「……」 あ、そうだった。 アタシ終わったらさっさと帰ろうと思ってたのに。 いつの間にかコイツのことずっと見てた…。 急いで立ち上がろうとすると 「さて、これで必要な箇所は全部付箋をつけたので今度はコピーしないといけません」 そうアタシに言いながら彼は腕時計を見た。