美月はそう言ってアタシの肩を叩いた。 「アタシ、 急用思い出したから帰るわ!」 え? えーーっっ!!! そして彼女は走って去っていった。 呆然。 「…彼女、 とてもにぎやかな人ですね…」 佐々布さんが言う。 「……」 アタシは言葉が出なかった。 なんで美月は… もう、変な気のまわしすぎ。 あ、そうだ。 借りっぱなしのハンカチ…。 なにかの機会に返せばいいやといつも服のポケットや鞄の中に入れていたのを思い出した。 そう、 響のあの試合のときも…。