「あ、待って…!」 アタシの声は雑踏にかき消され彼には届かなかった。 自転車がどんどん小さくなってゆく。 アタシはいつまでも自転車を見送っていた。 そして自転車が見えなくなるとアタシはネックレスに目を移ししばらくじっと見つめて…。 ぎゅっと握り締めた。 「あ、ハンカチ…」 アタシは佐々布さんのハンカチでネックレスをそっと再び包んだ。