「おもしろい方。いまさらなんですが、お名前、伺ってもいいですか?」 「あ……もちろん」 そうか、まだ名乗ってなかったのか。失礼だったな。 「渡辺、紫恩です。紫の、恩返しの恩」 「紫恩……」 飛鳥の声には、小鳥がさえずるような心地よさがある。 「シオ、って呼んでも、大丈夫ですか?」 僕は息を飲んだ。