死んだじぃちゃん?
突っ込み?
そんなコメディーが?


「俺、夢見てんのか?」
「夢じゃないよ!私、死んでユーレイになっちゃったの!圭ちゃんお葬式に行って来たんでしょ?現実見てよ」


行って来たから余計に信じられねぇんだろうが。
大体、俺には霊感なんてねぇし。


安田を見た。

安田はうつむいて何かを蹴る様に、黒のハイソックスをはいた脚を動かしてる。

棒みたいに細い脚。


ふと、ハードルを飛んでいる安田の姿を思い出した。
綺麗に伸びた、長くて白い脚…。



「圭ちゃん、泣いた?」

突然、安田の顔が目の前に迫って焦った。

近いし!
微妙に向こう側透けてるし。

…ユーレイだもんな。


「うるせぇ、泣いてねぇよ」
「嘘!目ぇ赤いよ?」
「コレはアレルギー」
何ソレ?と、安田は頬を膨らませた。

「訳わかんない」

俺もわかんねぇ…この事態が。


いや、ちょっと冷静になってみろ俺。

安田は死んだんだ。
それは現実だ。
信じられねぇとか言ってる場合じゃねぇ。
事実、ユーレイになって目の前に居る。


…待てよ?
何で居る?

人って死んだらあの世に行くよな?
子供でも知ってる事じゃね?