その日の放課後、安田はここで…俺のチャリの前で待ってた。
「一緒に帰ろ、圭ちゃん」
その時の季節は冬で…。
雪が降り出しそうな寒空の下、マフラーに顔を半分までうずめて、寒さで頬を赤くしながら安田は立ってた。
ケンカした事なんか、忘れるくらいの自然さで。
笑いながら…。
俺のチャリの後ろ、回してきた安田の手は震えていた。
どのくらい待っていたんだろう。
そんな事を考えながら、俺はチャリを漕いでいた。
「ねぇ、圭ちゃん…私達ずっと幼なじみだよね?」
俺の後ろで安田は呟く様に聞いてきた。
「……」
俺は、それに返答できなかった。
ずっと幼なじみ。
それは、これからも変わらない俺達の位置関係を示すものに思えた。
俺はどうしたい?
安田をどう思っているんだ?
考えたら返答できなかったんだ。
聞こえなかったのかなと言う安田の独り言も聞こえてた。
聞こえないフリをした。
答えられなかったから。
「圭ちゃん…」
風に掻き消される様な小さい呼び声。
腰に回された安田の腕に力が入るのを感じてた。
そして、安田が顔を俺の背中に押し付けてきた感触も…。
「一緒に帰ろ、圭ちゃん」
その時の季節は冬で…。
雪が降り出しそうな寒空の下、マフラーに顔を半分までうずめて、寒さで頬を赤くしながら安田は立ってた。
ケンカした事なんか、忘れるくらいの自然さで。
笑いながら…。
俺のチャリの後ろ、回してきた安田の手は震えていた。
どのくらい待っていたんだろう。
そんな事を考えながら、俺はチャリを漕いでいた。
「ねぇ、圭ちゃん…私達ずっと幼なじみだよね?」
俺の後ろで安田は呟く様に聞いてきた。
「……」
俺は、それに返答できなかった。
ずっと幼なじみ。
それは、これからも変わらない俺達の位置関係を示すものに思えた。
俺はどうしたい?
安田をどう思っているんだ?
考えたら返答できなかったんだ。
聞こえなかったのかなと言う安田の独り言も聞こえてた。
聞こえないフリをした。
答えられなかったから。
「圭ちゃん…」
風に掻き消される様な小さい呼び声。
腰に回された安田の腕に力が入るのを感じてた。
そして、安田が顔を俺の背中に押し付けてきた感触も…。



