「あの、あなた様は…?」

俺の問いに、美形は顔をしかめた。
睨み上げる様に俺を見る。

「人に名前聞く時はよ、自分から名乗るのが筋だろ」

怖っ!!すげぇ迫力!!
むちゃくちゃドス効いた口調…そのスジの人?


思わず正座をしてしまう俺。

「…三谷っす」
「三谷?三谷…何?」
「三谷圭介っす」

ああ、と美形はうなづいた。
「リョウが最近つるんでるダチか」

つるんでる…のか?俺。
でも突っ込むの怖ぇ!

美形は眉間にシワを寄せつつ、俺の後方に視線を移動した。

「そっちのねぇちゃんは?」

ねぇちゃん?


疑問顔の俺に、美形はゆったりと安田を指差す。

「いるじゃねぇか、ユーレイのねぇちゃん」
「――!?!」


見えてる?!マジでっ?!
何者だ?!
この美形…。


「お茶とお菓子持って来たよ」
トレイを持ってドアから顔を出したのはマオちゃんだった。

「気が利くな、マオ」
マオ?呼び捨て?

マオちゃんは苦笑いをしながら、テーブルにコーヒーと煎餅を並べ始めた。

「もう、竜馬お兄ちゃんの部屋でくつろぐの止めたら?」
「うるせぇ」
美形は舌打ちをしてる。

「とっとと茶ぁ置いて出てけよ」

態度でけぇ。