そうか、もう盆なんだ。
「懐かしいね?盆踊り」
ポスターを見つめながら、安田はぼんやりと呟いた。
盆踊り…ガキの頃は、よく安田と行ってたな。
親から貰ったこずかいを握りしめて。
「圭ちゃん、灯籠流しを見に行って川に落ちたんだよね?」
思い出したのか、安田は声を立てて笑う。
「ああ、あったな」
一度、安田が浴衣を着て来た事があった。
今でもはっきりと覚えてる。
紺地に黄色い花模様の浴衣。
綺麗に髪を結い上げて、お母さんが貸してくれたと赤い口紅を塗って…。
まだガキだったけど、思えば、安田を異性と意識したのはあの時からだったのかもしれねぇ。
浴衣姿の安田は、その時の俺には綺麗に見えた。
いつもなら手を繋いで出店を見て歩くのに、その年は何だか照れ臭くて手を繋げなかった。
“圭ちゃん怒ってるの?”
そんな俺の後を、安田は不思議そうに着いて来ていた。
そんなガキの俺は、灯籠流しの時に川に落ちた。
灯籠に触ろうと手を伸ばした安田のヨーヨーが、川に落ちた。
慌てて拾おうとした安田の浴衣の袖が、川水に触れた。
それを見て俺は止めた。
“ダメだよ!葉月ちゃん”
「懐かしいね?盆踊り」
ポスターを見つめながら、安田はぼんやりと呟いた。
盆踊り…ガキの頃は、よく安田と行ってたな。
親から貰ったこずかいを握りしめて。
「圭ちゃん、灯籠流しを見に行って川に落ちたんだよね?」
思い出したのか、安田は声を立てて笑う。
「ああ、あったな」
一度、安田が浴衣を着て来た事があった。
今でもはっきりと覚えてる。
紺地に黄色い花模様の浴衣。
綺麗に髪を結い上げて、お母さんが貸してくれたと赤い口紅を塗って…。
まだガキだったけど、思えば、安田を異性と意識したのはあの時からだったのかもしれねぇ。
浴衣姿の安田は、その時の俺には綺麗に見えた。
いつもなら手を繋いで出店を見て歩くのに、その年は何だか照れ臭くて手を繋げなかった。
“圭ちゃん怒ってるの?”
そんな俺の後を、安田は不思議そうに着いて来ていた。
そんなガキの俺は、灯籠流しの時に川に落ちた。
灯籠に触ろうと手を伸ばした安田のヨーヨーが、川に落ちた。
慌てて拾おうとした安田の浴衣の袖が、川水に触れた。
それを見て俺は止めた。
“ダメだよ!葉月ちゃん”



