何も言えない。

「…嘘。」

「何が?」

「私のこと、好きじゃないでしょう?女の子の告白は断れないんでしょう?」

離れない手を引っ張られた。

遠退いていた体がいとも簡単に近付く。

「何年、俺の幼なじみやってんだよ。」

少し不機嫌そうな声で、亮は言った。

どういう意味?

「まぁ、何年幼なじみやってても俺の気持ちに気付かない雪姫ちゃんに今更何言っても遅いか。」

そうして歩き出す。

桜の樹の下で寝転んでいるはずの秋矢の元へ。

「…ずっと好きだった。」

私は、心臓が高鳴り過ぎて止まるかと思った。