「…っ。」

嫌な夢を見た。

「大丈夫か?」

近くに、冴島亮(サエジマリョウ)がいた。

茶色い髪と光るピアスと緩めたネクタイが横に目に入る。

「…。」

私は寝返りをうった。

ぐにゃりと体を曲げて、丸まった。

保健室のベッドの白が視界一杯に広がる。

「黒川雪姫(クロカワユキヒ)、聞いてるか?」

亮は言う。

「聞いてない。」

私は亮に向き直る。

「あ、秋矢。」

亮の後ろに来た長谷川秋矢(ハセガワアキヤ)。

「よ。」

「トランプしよ。」

私は起き上がって、ブレザーのポケットからトランプを取り出す。