隣で皮肉を飛ばす亮。
私は秋矢を見た。
「…破れた。」
どよーん、とした空気が漂っていた。
私は亮の器の中を見る。
憎らしいほどたくさん、金魚が入っている。
「亮、一匹ちょうだい。」
「いらないから全部やるよ。てことだから、おっさん。一匹だけで良い。」
紅い金魚を貰った。
「わーい。ありがと。」
待ち合わせ場所だった鳥居で、リンゴ飴を舐めた。
鳥居は階段を少し上る所にあるから、高い。
「雪姫って…本能的に生きてるよな。」
隣に座る秋矢は言った。
「どこが?」
「食べる、寝る、トランプする。」
失礼な。
隣の亮からは含み笑いが聞こえた。



