日の出と共に俺たちは港から船を出した。

 俺たちは、貿易を国交するためにヨルデス国に向かう。

 そこは、隣国ではあるが海の向こうの為互いに行き交う事がまだない。

 噂によると緑豊かな国で楽園と聞いている。
 
 未だ王位を継いでいない俺は視察にすぎない。

 いつもなら大臣たちその他大勢のお爺たちも同行するが、今日はシモンと他2名の計4名だけ。

 もちろん、この少人数での長旅に反対の声もあがった。

 けど、俺は今まで表に顔を出してないからな。

 視察には丁度良いってわけ。

 なんて言うのは口実。

 自由でいられるのがあと僅かだからな、俺の小さな願望をシモンが聞いてくれたんだ。


 海の知識なんて、全くと言っていい程知らない。

 だから、水平たちが険しい顔をしているのに気が付かなかった。


 「ニコラス様、船室にお戻りくださいな」

 「そうです。皇子に何かあってからでは遅いのです」

 「私たち、責任を取らされてしまいます」


 心配性のルイスとトニが口々にに言い放つ。


 「心配するな。潮風に吹かれるほうが中でジッとしているよりいいんだ」

 「……暮れぐれもご無理をなさらないようお願いします」

 「わかっているさ」


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