「……ところで、アンタ名前なんだっけ?」

 「塘之(トモユキ)」

 「塘之か、覚えておくよ」

 「櫂さん、どうして僕なんかを構ったのさ?」

 「まぁ、通りがかりっちゅうことで」

 「通りがかり? さっきはそんなニュアンスじゃ……」
 
 「ごちゃごちゃ煩せぇな。それと、俺の事は『櫂』でいいから」

 「か、櫂」

 なんとなく頼り概がねぇが、素直さはあるな。

 それがコイツの味なんだろう。

 しっかし、なんだって鈴の奴こんな紙切れを持たせたんだか?

 手にしているライブとかいうチケットをヒラヒラ風に扇がせる。

 この塘之って奴に誘ったものの、俺自信

 興味ないんだよね。