仕事を終え、子供と夕飯を取り、お腹も落ち着いた頃ようやく携帯を開いた。

 どれだけ受信続けているのか、常に充電をしなければならない電話。

 僅かなポイントの中で少しでも話をしたい。


『ペロが生還しました。貴女が祈ってくれたお陰です。本当にありがとうございます。』

 私は別に何もしてないよ。でも良かった。

 見えない糸に釣られた安心感が心に癒しの空気を入れてくれたようだった。

 出会い系なんて、嘘ばかりだけど、貴方だけは信じてみたい。

 日に日に心は携帯の中に鎮められていく。

 もっと、もっと話したい。

 新たにポイントを購入してでも話したい。

 この人は、きっと実在する。お金なんて要らない。会って貴方という安心が欲しい。


『ゲストさんの夢って何ですか? 俺の夢は動物施設を作る事なんです。

今、この街では毎月何万匹と捨てられているんです。

俺たち人間は動物達に生かされているんです。

なのに、動物達は俺たちに食べられる以外にも酷い仕打ちを受けているんです。

そんな事許される事ではないですよね』