──9月19日(土)

何故だろう?
今日は家から一歩も外に出てはいけないような気がする。

まぁ、土曜日で学校もないから今のところ予定もないんだけどさ。

朝から胸騒ぎが止まらない。

 プルルルル …… ……

突然鳴り響く携帯電話

「な、何よ!?
 電話が鳴るなら早く言いなさいよ!!」

わけのわからない独り言を言いながら通話ボタンを押す。

「もしもし?」

『千郷、私~』

聞き慣れた声にホッとする。

「陽菜、どうしたの?」

『今日、夕方から出られる?』

「う、う~ん」

家を出たらいけない気がするなんて言えないよ。

『ダメ?
 月野神社でお祭りあるからさ、一緒にどうかなと思って』

そういえば、今日秋祭りだっけ?

「あ、今日だっけね。
 うん、陽菜は何時頃行くの?」

『じゃ、18時に神社の前で待ち合わせでどう?』

「わかった」

そのくらいなら、大丈夫だよね?

毎年行っているお祭りだものね?

浴衣……出してこようっと。

電話を切っても胸がチクチクとする。

 ──ピンポーン

玄関のチャイムが鳴った。

「はぁい」

今日はなんだか賑やかな日ね?

「宅配便です。
 黒崎 千郷様ですね?」

「はい」

「ハンコお願いします」

「あ、はい」

「毎度ありがとうございます」

宅配便のお姉さんは、元気に走り去っていった。

誰?
差出人の名前は未記入のまま