陽菜は一人で弾んだ声を出して盛り上がっている。


「見てるこっちが恥ずかしくなってきちゃった~」

そんなこと聞いた私は、もっと恥ずかしいんですけど?


「で、何処で見付けたのよ? あんなイケメン!?」

私の記憶にはそんな人……いない。

「あっ」

一人思い当たる。

「やっぱり隠していたね?」

隠していたわけではない。

美郷の彼……たしか魔術の勉強していたっけ?

普段は優しいのに時折魅せられる怪しげなオーラを放つ人。

忘れていたよ

「陽菜、その人……いつまで傍にいたの?」

「この家の近くに来たら消えちゃったのよ。
 不思議よね?」

消えた?
そういえば、さっきも……

私をここまで連れてきたアナタは誰?

ねぇ美郷、貴女が引き合わせているの?

それとも、ただの通りすがりの人なの?

答えが返ってくるはずもなく静寂な空気の中、眠た気に扇風機の首が動くだけ。

どうしてお空に逝っちゃったの?

― 教えてあげようか?