「ねぇ千郷、今日半ドンだし、学校終わったらプール行こうよ♪」

「あ、いいね♪
 でも、なんで今頃?」

「割引券が余ってるの。
 新聞屋のおっちゃん、いっぱいくれてさ」

「なるほどね」

何の悩みもない私たちは、他愛もない話で盛り上がり、炭酸水のように弾けている花の女子高生。

肌に差し込まれる、紫外線には悩まされるけどね。

全く。
この乙女の天敵、何とかならないものかしら?

 紹介が遅れたわね。
私、黒崎 千郷、16歳。
(くろさき ちさと)
運動はわりと好き♪

そして、今話をしていたのが、自称、才色兼備と言うクラスメイトの
神戸 陽菜(かんべ ひな)。

私には、天然なお茶目さんにしかみえないけど、傷付くから言わないの。

陽菜は、高校に入ってから友人。

中学から仲の良い子たちは、残念ながら別のクラス。

 代わり映えのない日常が、こんなにも幸せな事だなんて、この時は想う筈もなく過ごしていた。