「理屈を並べるより目で確かめて来いって」


 「私が行くの!?」


 「当たり前!アンタが受け取らなきゃ意味ねぇし」


 「……」



 得体の知れない相手を探りに、恐る~々足を運ぶ。

 ゆっくりチェーンを外し、ドアを開ける。


 ふわぁっと包まれる甘い香り。

 玄関と月が虹の様なもので繋がられている。


 「……うそ。」


 「貴女、桃香さん?」


 私の零れ落ちた言葉を拾った主は小さな女の子。


 「……はい」


 「これ、届け物だよ♪」


 「誰……から?」


 「さぁ。アタシは預かっただけだから。それと、これ櫂に渡しといて♪」


 「櫂さん……の知り合い?」


 「知り合いも何もないわ、私達は同士だから」


 「何の同士?」


 「櫂に聞いてご覧♪ じゃね」


 小さな女の子は、虹の上を滑るように帰って行った。