ソフィア殿が囚われている場所は、直ぐに見付かった。

 だが、俺のところよりも掟がしっかりされている。

 耳を済ますが、物音一つ聞こえない。

 まさか!!

 こういう時って、物事悪い事しか脳裏を過らないんだな。


 「大丈夫ですよ。ニコラス様が愛したお方です、もっと彼女を信じておあげなさい。」

 「そうだな」


 彼がこの場にいてくれたから、落ち着きを取り戻す事が出来た。


 「しかし、此処までしっかりしている掟では――」

 「簡単ですよ」


 シモンは、不敵な笑みを浮かべたかと思うと、あっという間に一つ目の扉が開いた。

 一体何処でそんな技を成し得たのか? と思ってしまうくらい手際よく。

 元々物置小屋だったのか、脚立やロープに古タンスなどが並べられている。


 「ここからは少し狭いですから気を付けてください」

 シモンの指差す方向を見ると、天井に小さな穴があるのが見える。


 「さぁ、早く」


 小さく頷き、手近にあったロープを片手に脚立を使って天井口に身を潜めた。
 大泥棒にでもなった気分だ。


 ソフィア殿、直ぐに参る。


 祈りを月夜に託す。


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