・・私って、天才かも。



私はそっとパソコンの電源を落とすと、余裕の笑みで台所へと入る。


蛙の親は蛙。


息子が天才なら、私だって負けずに天才のはずだ。


これからだって、周囲には秘密にしたままケータイ小説を書いてみせる!


私の小説に出てくる俺様顔負けに、今の私の口角はぐいん、と高く持ちあげられている。

ほうれい線なんて気にするな!

いざとなったら、シー○ボかD○Cの試供品をもみこむまでだ。


鼻歌を歌いながらだんご粉に水を加える楽しそうな息子を見ると、

今日の一仕事を終えた気がして爽快な気分だ。


と。


ね~ママ、と息子がにこにこと話しかけてきた。

なあに?と上機嫌で応じる私。


「それで、野いちごって何?」


「小説書くサイトだよ。

ママがカルレインとか、変な名前が出てくる話を書いてるんだよ」


「ふ~ん。そうなんだ」


一瞬にして私の努力を泡にしたのは、いつの間にか台所に現れた私の娘(きっと彼女も天才)だった・・・。





あ、蛙の子は蛙って、そんな意味じゃなかったっけ。



(おわり)