「綾ー、見て?」


「何……うっわ、すごい!!」


でしょ?


にっこり笑って私の顔を覗き込んでいた彼。


彼が私に見て、っていうとき示すものは、大抵


星空。


田舎だから、いつも綺麗で。


でも私は、いつも臨(りん)を見ていたから、


「綾、上上!」


「窓の外、すごいよっ」


そんな臨の声を聞いたときだけしか、空なんて見なくて


それはいつも夜で。


だから私の記憶には、星空しか残ってない。