その、鋭い視線に引っ込んでいた涙は再び戻ろうとしている。



精神状態が落ち着かないからか、思い浮かぶのは嫌な事ばかり…。



…今思い返せば、本当に間違った事をしたのかもしれない。



身分の差を無くすなと啖呵切った私が、色恋沙汰に揺らぐなど端から見れば…



どんなに愚かだったんだろうか。



温かく見守ってくれていた…弦と咲威も、心の内では…



「……っ!!」



ハッとする。



今、思ってはいけないことを思ってしまった。……たとえ、それが一瞬でも。