ホテルの出口に運転手が立っていた。
私たちの姿を見て
車に乗り込む。


「ね…佐藤さん…」
私は不安になった。


「彼は味方だよ。
俺にこの誕生会の中身を教えてくれた。
助けに行けって…」



車に乗り込んだ。
息が激しく切れる。



「これから……どうするの?
どこに逃げたらいいんだろう。」



車が走りだした。


「楓さま…なんてわびたらいいか……」
佐藤が言った。


「わかってる。
あなたには家族と生活がある。
あなたを恨んではいないわ。
ごめんなさい…また不安定な生活に
してしまう……こと……」


「妻に話したんです。
言われました。

応援しましょうよ、楓さまが
愛する人と一緒になれるように
私のようにあなたといられるのが
幸せな人生なように……
何があっても幸せだって
思えるのが愛でしょう?って

俺はいったい何してたんだって。
金に目がくらんで…
ご主人を裏切るなんて……」




「佐藤さん、感謝してます。
今日のこと知らなかったら
救いにいけなかったことを
後悔したでしょう。」


倉之助の手が私の手を
ぎゅっと握りしめた。