「楓・・・・
ね?楓さま・・・・・」



楓さま……


なんだろう
声が似てるのかな?
さっき、ドキンとしたのも
倉之助を思い出したのも・・・・
中野と話すのが苦じゃないのも


「ねえ…楓…愛してるよ。
ずっと待たせてごめんな。
結婚しようって言って。」

酔いにまかせて私は言った。


「じゃ帰らないか?
いいよ…全然お安い御用だし。」


中野は私を抱きしめながら


「楓・・・楓・・・・
愛してるよ・・・・
ずっと待たせてごめんな?
結婚しよう・・・・・
俺が絶対幸せにする・・・・・」


目を閉じて聞いた。

似てるんだ声が・・・・


私は中野をぎゅっと抱きしめた。



「もう一回言って。」



中野は何度も優しくそのセリフを
繰り返してくれた。
そのうちに私は倉之助の
胸に抱かれてる錯覚に陥る。