真新しい家族が出来るのに。 全く知らない、血も何も繋がっていない奴らと、これから一緒に生活するってのに。 「涙、こちら、敷浪さん」 お母さんに言われて、軽くお辞儀して 「井沢涙、高一、です」 名字がもう変わるってのに、わざわざ名字を付けてやる。 軽い嫌がらせだ。 名前だけ言ってケータイを開く。 そのとき、 「敷浪櫂、高二、です」 と聞こえた。 パッと声の主を見る。 そいつはやっぱり、笑ってた。