大事だから。 本当に大切な友達だから。 ──・・・だからだよ、愁。 言い訳かもしれない。 逃げてるって、思うかもしれないけどさ、 愁なら、わかってくれるよな? ────── 「涙?」 櫂兄の声に、ハッと我に帰る。 「どーかした?」 櫂兄が心配そうに、自分の顔を覗き込んだ。 ──ドキッ。 思わず胸が高鳴った。 鼓動が速くなったのがわかった。 同時に、顔が熱くなるのも。