「……涙にとって、」 ──・・・なんだ? そんなにかしこまる話か? 「……なに?」 「………俺ってなに?」 ──・・・は? 愁の言ってる意味、わからない。 「……愁?」 「…俺はっ……──」 愁がなにかを言おうとしたとき、早妃が入ってきた。 花瓶に生けた、花を持って。 「……重っ!!」 フラフラしながら、花瓶を窓際のテーブルに置く。 「なに話してたの?」 そう訊いてきた早妃に、愁は 「……別になにも」 と、素っ気なく答えた。