櫂兄は、病室が変わったことに関してなにも言わなかった。 「涙、体調悪い?」 ふと、櫂兄の目が下がる。 心配そうな目だった。 「……大丈夫」 ──・・・なわけ、ないんだけど。 だって、 大丈夫って言うだけでキツいのに。 頭痛だって、いつもと違う。 副作用の痛さじゃない。 尋常じゃない。 だけど、 「…本当?」 「……大丈夫」 櫂兄と話したいから。 こんな痛さくらい、我慢出来る。