────── 次々に変わっていく景色。 ただ呆然と見つめてた。 前には櫂兄。 「そろそろかな」 そう言って電車を降りれば、そこはビルも、スーパーも、 何もない。 ただただ田畑が広がっていた。 今日は櫂兄と、花火を観に来ていた。 そう、約束の。 花火を観るためだけに来たため、着いたのは夕方。 「なーんにもないだろ?」 「……うん、地元よりひどい」 地元はビルがあるけど大都会ってわけじゃない。 でも櫂兄の地元は、 本当に何もなかった。