「先生」
私はわざとらしく手を挙げて発言の許可を求める。
「ん?なんだ、田原」
「すこぅしばかり…いえ、結構、いやかなり。先ほどから頭痛が酷くて仕方がないのです。保健室に行って薬をもらってきてよろしいでしょうか?」
少し辛そうに息も荒くしながら俯いて掠れた声で言う。その様子に教師も私が辛そうだと判断したのか、快くうなづいてくれた。
「もしとても辛くなったら、家に帰ってもいいぞ」
「はい。…そうさせてもらいます」
あとは保健室に行くだけでいいだろう。
関の息を飲む声がかすかに聞こえる。別に私は実際少し頭が痛いし(あんな光景を見ればなおさら、だ)別に休んだって構わないはずだ。
上手くやるから気にするな、の意を込めて、私は関の方をちらりと盗み見た。