試合の翌日。練習終了後の午後九時過ぎ。 十座は聖名の家を訪れていた。 「どーぞ?」 「…おじゃまします」 聖名の案内で部屋まで行く。 「どうかしたか」 「いえ。ただ…」 聖名は急かすように,十座の顔を覗き込んだ。 「聖名さんには,直接報告したくて」 十座は聖名を見つめ,数秒の間黙した。 「甲子園,行ってきます」 「あぁ」 「絶対に優勝してきますから」 「当たり前だ」 ふたりは笑った。