十座はダイヤモンドをゆっくりと回った。 なにかを噛み締めるように。 「十座!」 回っている最中。 和良の声が聞こえた。 振り返る。 視線の先には,和良の姿。 目に涙を溜めて,今にも泣き出しそうなほどだった。 名前を呼ばれた以外,口を開こうとしない和良。 代わりに,十座は拳を掲げ,それを和良の方に向ける。 和良は嬉しそうに,笑みをこぼした。 十座もそれにつられ,顔が綻ぶ。