涙混じりのトーストをほおばって すっかりハムスターのような顔をしている 隣に誰かが 腰を下ろした
【なんで 隣に来るんだよ! 他の席も空いてるだろうが】

横目で チラッリ見して 思わず トーストを吹き出した そこにいたのは大出 旬。

焦って むせた私の背中を叩きながらあいつが言った

「何してるの?」

「見りゃわかるでしょ!」

「まあね…」

【まぁね じゃないよ】

「私 帰るから」

「あっ ちょっと 待ってよ」

あいつが 止めるのを無視して私は 店を後にした

「この前だって 振られたのは 俺だぞ!?なんで あんな…」

そう 言った旬の目に 朝刊が飛び込んできた 見出しを見るや 旬の顔色が変わった

「マスター なんで こんな 昔の朝刊 置いとくんだよー!」

「ええ? あっ 今 掃除に使おうと思ったんだけどさ。 トースト頼まれたもんで あれ? 彼女は?食い逃げかよ・・・・変な女だったぜ・・・朝刊見て 泣いてたし。
おまえの熱烈なファンか・・・そうじゃなきゃ ちょっと勘違いが入った ストーカー
予備軍ってところかぁ??気をつけろよ」

「違うよ!!」


そう言うと 旬はあわてて 店を飛び出した。

通りを左右見回すが そこには既に 由真の姿はなかった。

「参ったな・・・・」

そうつぶやくと 旬は 由真のアパートめがけて走り出した。