その沈黙を破ったのはルカ

「私、帰るね」
「もう?」
「うん。この話を聞いてたら実家に帰りたくなちゃった。だから今、行く」
「今って・・実家って愛媛でしょ?」
「・・・本当はね・・・愛媛じゃ無いの・・」
「俺達に嘘をついたのか?」
「騙すつもりはなかったの・・」

ガンッ

鈍い金属音がした

「俺達はな・・親が死んでから嘘が嫌いなんだよ!!」
「ごめんなさい・・・」
「謝ったらすむ話じゃねぇんだよ!!」
「・・嘘をつかないと生きて行けなかったんだよ」
「?」
「いい・・。私は人間じゃないの・・分かる?怪物の気持ちが?分かんないでしょ?分かったふりで言わないでよ!!」
「騙された俺達はどうなるんだよ?あっ?」
「掟だよ。」
「誰だ!」

身軽な男が出て来た

「久しぶりだなルカ姫」
「?」
「俺だよ。イクト」
「イクト!?どうしてここに?」
「たまたま泳いでたら俺達の秘密がばれそうだったから」
「ありがとう・・」
「では・・お望み通り実家に。」
「ありがとう。イクト」
「こいつは貰うよ」
「おい!待て!」

ルカの手を繋いで崖の方に歩いて行く

「おい・・何すんだ?」
「死ぬ気か?」
「やめてよ!!」
「「翔!?」」

翔が大声で言った

「何で2人はルカを責めるの?確かに嘘はついたかもしれないよ?けどルカにも理由があるんじゃないの?」

「翔・・・ごめんね・・みじめな私を許して・・」
「ルカはみじめじゃないよ・・」
「ルカ姫。」
「分かったイクト。ありがとう・・皆」

バシャ―ン

波飛沫が飛んだ

そしてイクトは3人を眺めると海の彼方に消えた

「嘘だろ・・・」
「自殺」
「2人とも、どうして責めたの?」
「嘘をついたから」
「人は誰だって嘘をつくよ?拓真と健もついた事あるでしょ?」
「うっ・・」
「そうだけど・・・」