「やりすぎたかなぁ…」


電車の中、私は翔太に聞いた。


「いや、あいつにはあれくらいやらないとダメだよ」


笑って翔太が言う。


「朝から??」


私が不安げに聞くと、翔太は吹き出した。


「朝っぱらから人の顔にビンタしといて、今更何言ってんだよ」


「あ…」


私は恥ずかしくなって俯く。


「あ、おはよう!理香、翔太君!」


突然、背後から声をかけられた。


「あ、沙紀。おはよう」


「おはよう、近藤さん」


私と翔太は沙紀に挨拶する。


沙紀は私と桃威と同じクラスで、クリッとした瞳がとても可愛いらしい。


「あ、翔太君で合ってた?」


沙紀は少し安心したように言った。


「え、近藤さん、勘で言ったの?」


切なげに翔太がいうと、沙紀ははっきりと頷いた。


「半分は賭けで言った」