「ねぇ、桃威…泣いてるだけじゃ分かんないよ…?」


私は静かに聞いた。


「後遺症があるかもって…」


「え?」


少し落ち着いたのか、桃威は背中の腕を退けた。


「峠は越えたらしい…でも、頭を強く打ってるから気が抜けない状態だって…意識が戻っても、何か後遺症が残るかもしれないって…」


鼻水を啜りながら話し出す。


「後遺症って…麻痺とか?」


「それは翔太の意識が戻ったら分かるって…」



一応、翔太は助かったんだ…



そう思うと同時に足の力が抜け、再び椅子に座った。


桃威も私の隣に座る。


「ねぇ……」


「…ん?」


私は疑問に思っていた事を聞いた。


「翔太、どうして事故に遭ったの?」


「……それは……」


「桃威、近くにいたんでしょ?」


尋ねると、桃威の目に再び涙が浮かんだ。


「俺のせいだ…」


「えっ?」


桃威はそれから一言も言葉を発しなかった。